佐賀市内の新築住宅のうち「建売分譲住宅」を中心に販売戸数を爆発的に伸ばしているのはローコスト住宅です。
ローコスト住宅は、佐賀市内で「土地と建物を合わせて2,000万円台(税込み)」と全国的に見てもかなりの安さです。いかに「安い」とはいえ、買主からすれば『少しでも値引きをしてもらいたい』と希望されているかと思います。
新築住宅の値引きって、簡単にできるものなんでしょうか?
住宅の価格は「新築時が最も高く」て、時間とともにその価格は下がっていきます。
経済の原則から言っても「売り手は商品をできるだけ高く売りたい」と考えています。「最も高く売れる新築住宅」を値下げすることは、売り手側にとっては大きな決断となります。
当社は「新築建売住宅の仲介」をやっています。売り手と買い手の間を仲介し、契約がうまくいくような動きを目指しています。今回の記事では「値引き」について、当社の経験を交えながら解説します。
「新築住宅の値引き交渉」は2つのパターンがあります。
1.買主側「買付証明書」を提出するタイミングで交渉する
2.売主側「販売促進」「資金回収」の方法として値引きを使う
値引き交渉はタイミングが重要です。
新築住宅に限らず、商習慣ルールとして『値引き交渉をするならば、売買契約締結前であること』が大前提です。売主、買主双方が「この金額で売買する」と、契約(約束)したことですので、締結後に約束を破るというのは信用にかかわります。
新築住宅の値引き交渉がうまくいく方法!タイミングが重要
当社が売買仲介をしている建売住宅は「値引き交渉のタイミング」があると思っています。
経験値から、買主側からの値引き交渉は「買受証明を入れる際」と言えます。その後、買主の住宅ローンの事前審査が通り「融資予定金額が定まり、売買契約を締結」したら値引き交渉は無理です。
「買受証明」というのは、建物の買い希望者が『この物件を購入したい…』と書面で売主側に提出するものです。
その際、売主の提示価格(売買価格)よりも値引きをしたい場合は、『購入希望金額』として記載します。
買受証明は、買主側の買い希望の熱量、住宅ローン審査の可能性の大きさによって、売主の受け取り方が変わってきます。
新築住宅の値引き希望に対して売主の対応は2パターン!
建売住宅も他の商品と同様、売り手と買い手の需給バランスによって価格が成り立つものです。当初の価格は、売主側が決定した「売り出し価格」ですので、買い手側の需要によって、この価格が変わります。
こうしたことから「値引き」交渉があることは当然です。ただし、売主側の対応について当社の経験値で「2つのパターンがある」と思っています。
- パワービルダーのローコスト住宅で値引き交渉「可」
- 小規模工務店のローコスト住宅で値引き交渉「不可」
…以上の2タイプに分けられます。
値引き交渉がまったくできない小規模工務店もあるんですね?
すべての小規模工務店が値引きをしないというわけではありません。自社で建売住宅の営業までやっている会社では「安易な値引きはしない」という方針のケースが多いと感じました。
新築住宅の値引きでパワービルダーのローコスト住宅は?!
佐賀市で最もローコスト建売住宅の販売軒数が多い㈱アーネストワンと一建設㈱です。両社とも、日本トップの建売販売戸数を誇る飯田ホールディングスグループです。
徹底したコスト削減と合理化で、飯田ホールディングスの建売住宅の価格はかなり安いのが特徴です。同グループは「パワービルダー」と呼ばれています。
新築住宅の値引きでもローコスト住宅の場合は難しいのですか?
ローコスト住宅は、徹底的なコストカットで売り出し価格を決めます。パワービルダーの「値引き決済権」は営業所で検討して、本社が最終決定していると言われています。
稟議の流れは以下のようになっているとされています。
- 建売住宅の担当者が「値引き希望額」の内容をチェック
- 営業所長が内容確認
- 「値引きの案件」が本社稟議にまわる
これ以外に、売主側のタイミングで自ら値引きの判断がされます。どのようなタイミングで値引きが行われるかですが、営業所や分譲地ごとに異なります。
当社の経験値では、以下のようなタイミングで値引きがされることあります。
1.新発売(広告開始)
2.建築途中
3.完成時
4.完成後2~3か月(売れ残った場合)
新築住宅の値引きのタイミングを知って行動しよう!
すべての売主会社が同じタイミングで値引きをするわけではありません。
同じ時期に多くの建売住宅が売り出されているため、他のライバルの動きを見て、売主は「値引きのタイミング」を図っています。値引きは最大の販売戦略です。
売主の多く「土地を仕入れて建物を建築して販売」して資金回収しています。このため、資金回収の期間が終わりに近づくと、値引きをしていくことが多いです。
値引き交渉がしやすいタイミングとしては、
- 前回の値下げから3カ月くらい経過した物件
- 完成直後でまだ値下げをしてない物件
- 分譲地の最後の1棟で残っている物件
一方、値下げ交渉が難しいタイミングとしては、
- 新発売で建築着工前の物件
- 値下げして間もない物件
- 人気エリアの物件
- 小規模工務店が売主である物件
不動産会社の営業マンが『私ならば、値段交渉ができますよ…』と豪語することがありますが、これは嘘です。値引きの決定権はあくまでも売主側にあることをご理解ください
まとめ:新築住宅の値引きは、売主の販売戦略の観点を考える
「一生に一度の買い物」と言われる住宅は、「安かろう悪かろう」であってはなりません。注文住宅のように、値引き交渉をした後に建築し始める場合とは異なり、建売住宅は「完成した物件を購入する」のが多いです。
値引きをしたからと言って、その分の工事を雑にするというのは考えられません。一方で売り主側にとっては『完成している建売住宅=コストが既に確定したもの』となります。
値引きをすることは、売り主側の利益を縮小することを意味します。それでも、敢えて売主側が値引きに応じる理由を、販売戦略の観点から考えてみましょう。